【山岳民族に会いにベトナムへ】バックパッカー異国放浪記 孤高の第3弾!

らく~ん沢木


序章~山岳民族について

世界中に住んでいる部族の中で、アジアの山に住む民、そして少数の部族を主に山岳民族と呼ぶ。そのためにアンデスやピレネー山脈辺りに住んでいる部族を「山岳民族」とは呼ぶことはない。
 
皆さんも一度は耳にした事があるだろう山岳民族の中で、最も有名な部族はタイからミャンマーにかけて住む通称「首長族」ではなかろうか?女性のみ幼い頃から金のリングを首にはめて、年齢を重ねる度に増えていき、実際に首が長く見えるので「首長族」と呼ばれている。

山岳民族に会いに行こう!

昔、テレビで放映されていた「世界ウルルン滞在記」という番組があり、若手俳優や女優が各国の家に滞在して一緒に過ごし、最後はお涙ちょうだいの番組であった。今で言えば「世界の村で発見!こんなところに日本人」なのだろうか。そのような番組を見てしまうと、とんでもない僻地にまで行かないと山岳民族には出会えないとも思ってしまうが、実際には気楽に訪問できる場所がいくつもある。

そんな気軽に訪れる事ができる場所のひとつに、ベトナム北西部に位置する『サパ(Sa pa)』という小さな街がある。日本から何日も掛かるわけではなく、また観光客で溢れ返っておらず、至って普通に山岳民族に出会える嬉しい場所なのだ。日本のパッケージツアーでベトナム北部を探してみると、断然「ハロン湾」が人気のようで、残念ながらサパへのツアーはほんの一部の会社でしか見当たらない。既に欧米人には大人気の街なので、日本人が大挙して押し寄せる前に個人で訪れてみよう!

思い立ったらまずはハノイに向かおう

《ハノイまでの航空券》
 今はベトナムへの航空券は値下がり傾向の一途である。その理由は言うまでもなくLCCのベトナム就航であろう。関西からはジェットスターの「激安セール」でなくとも普通の航空券で往復3万円台から見つかる。

東京からはベトナム航空が直行便なので便利。安ければ往復3万円台(サーチャージやTAX込み!)で購入可能だ。

《VISAについて》
 入国許可証のこと。15日以内の滞在で、パスポートの有効期限が6ヶ月以上あり、帰路又は第三国への航空券を所持していれば、いわゆる「No-Visa」で入国が可能となる。

《ハノイ空港から街へは?》
ハノイ・ノイバイ空港から街の中心地までは、オレンジ色の車体の86番バスが断然おすすめ。旅人のホームタウンとなる、ベトナム駅~ホアンキエム湖近くまでダイレクトで行ける。尚、「ミニバス」というのも存在するが、こちらは更にトラブルが多いので避ける方が懸命だ。

ベトナムのタクシーはメーター制にも関わらず、アジアの中でも悪評高くぼったくりタクシーとして有名。もちろん、深夜着の場合はタクシーを利用することにはなるが、その場合は、「Noi Bai Taxi」、「Mai Linh Taxi」、「Taxi Group」あたりの会社を選んで利用しよう。

サパへ旅立つための情報

《サパまでの交通手段》
 ハノイからサパの手前にある中国との国境の街『ラオカイ(Lao Cai)』がゲートウエェイとなる。しかし、2014年に高速道路が開通したお陰で、夜行列車を使用しなくてもダイレクトで到着できる。バス会社によって料金は異なるが、US$12~18くらいと安い。

《お奨めのバス会社》
 私の断然のお奨め会社は『Sapa Express』というバスである。
 
 ベトナムのバスと言えばちょっと変り種のバスが多い。昼間の走行にも関わらず「寝台バス」であることが多々ある。昼間の乗車であろうとも、ほぼリクライニング状態で座ることになり、長距離移動では非常に楽なバスなのだが、近距離移動で上段席になってしまうと外の景色が見られないシロモノなのだ。これはこれで面白いが、その点前述の『Sapa Express』は普通の座席バスである。利点を記してみよう。

・ 28シートと座席がゆったりでかなりリクライニングが利く
・ 通常ベトナムのバスはクラクションの嵐で走行中に熟睡できないが、こちらはかなり静かな走り
・ ミネラルウォーターやおやつが提供される
・ ハノイ郊外のバスターミナルではなく、ハノイの中心地にあるホアンキエム湖の脇から出発する。バックパッカーを始め、旅人が集まる地域にあるので、出発地点まで歩いて行ける。
・ インターネットで日本から予約ができる。何せ旅行者の間では非常に評判が良いバスなのでかなり混み合う。日程が決まったら遅くとも3~5日前には予約をしておこう!
https://sapaexpress.com/en

サパの山岳民族

ラオカイから約30km南西側の山の中に入って行った場所にあるのがサパ。旅人の間では、最も気楽に山岳民族に出会えると有名な街である。日本のガイドブックではまだまだ紹介されていない場合も多いが、この先間違いなくベトナムの旅行先としても人気を博すことになるであろう。
周囲には山岳民族の村が点在し、サパを起点としてトレッキングをするのが一般的だ。しかし、歩いて訪問するのが厳しい年配の方でも、山岳民族が毎日サパにやって来て市を開くので、苦労しなくても撮影をしたり民族雑貨を購入したりすることも可能である。

 サパ広場周辺で最も多く見かけるのが『黒モン族』。非常に商売熱心な彼女たちは、ハノイからのバスが到着すると、商品を買えやと売り子が殺到する。それでも他国に比べれば押しは弱いので断ることは難しくないので心配は無用。それ以外では売り子に声を掛けられることは少なく、サパ広場を離れると声を掛けられるのは皆無に等しい。
私が泊まっていた宿の通りが黒モン族の村へと通じる道路だったので、毎朝各村から出勤(!?) しに来る黒モン族の民族衣装を着飾った女性の姿を見るのが楽しみのひとつであった。

次に頻繁に見られる民族は、赤い布を頭に巻き、既婚者は眉毛を剃っているので見た目は若干怖い『赤ザオ族』。サパ広場前や路地で毎日商品を並べているが、黒モン族ほどには商売に熱を感じない。外見はともかく結構優しい人も多いので、世間話しをしながら商品をのんびり見せてもらう事ができる。なぜか時々彼女たちは露天から商品を置いたまま居なくなってしまう事があり、私たち旅人が代わって店番をしなければならない事もあるくらい大らかな民族の印象だ。

 サパ広場には、京都の舞妓さんの格好をしている外国人のように、化粧の濃いベトナム人が民族衣装を着ているのか、本物の山岳民族なのかさえわからない服装の民族を時々見かける。後述に記した「花モン族」や、サパからは少々離れた場所に住む「タイ族」も写真で撮影こそしたがサパで見かけるのは稀である。

トレッキンングで出会った山岳民族たち

日帰りから数泊まで様々なコースが準備されているので、予算と体力を考え自分に見合った場所を訪れれば良い。ちなみに現地の旅行会社にて前日までの予約で問題はなし。

 上記の写真は、自力で黒モン族の村を訪問した際のもの。ここではサパの街のような商売魂は感じられなく、のんびりとした時間が流れている。

花モン族の日曜市へ足を伸ばしてみよう

ラオカイからバスで1時間半走った場所に『バックハ(Bac Ha)』という村がある。ここでは『花モン族』の日曜市が毎週開かれている。花モン族はベトナム・中国南部周辺で最も華やかで服装がおしゃれだとも言われており、彼女たちを見に行くだけでも十分価値がある。
時間の無い旅行者はサパから日帰りツアーを利用している場合も多いが、市場の到着が11時頃で混んでしまう時間帯。ならば、前日土曜日にはバスでバックハ入って宿泊し、朝早く周辺の村々から集まる花モン族を見る方が面白い。

一応観光客専用の雑貨屋や土産屋も市場入り口付近で店を並べてはいるが、ここの市場は明らかに観光用ではなく各村からバイクや歩いてやって来る花モン族のためのローカル市場である。民族衣装や小物はもちろんのこと、日用品をはじめ、家畜やペット用の犬までも売られていて、市場全体が華やかさだけでなくかなり賑やかだ。

若い花モン族の女の子は1週間に1回、買い物を楽しみながら、友人たちと再会しておしゃべりに花を咲かせており、ほぼ女子会の雰囲気の様相だ。

《バックハへのアクセス》
 サパ ⇒ ラオカイ  バス頻発 26,000VND(ベトナムドン130円)  ※バスの大きさにより若干運賃が異なる
 ラオカイ ⇒ バックハ  バス1時間に1本位 60,000VND(300円)   ※日の出から日の入りまでの運行

終章~山岳民族に出会う旅

山岳民族で有名なタイ北部のチェンマイでは毎夜開催される夜市に行くと、観光客相手に物を売り歩く「アカ族」に出会えてしまう。非常に残念ではあるが、今や東南アジアに観光部族と言われる以外の山岳民族はほぼ存在しない。旅行者の中でさえも観光客相手の山岳民族を見に行って何が面白いのだと非難する人もいる。確かに現代文化の象徴でもある携帯電話を持っている子もいるし、観光客にしか目のない若者もいる。それでも彼女たちは、旧来のままの衣装や伝統装飾品を身につけて実際に畑を耕し昔からの生活をしている。その土地の民族や文化を私たち旅人が立ち入って覗かせてもらい現代の山岳民族を理解した上で「昔を偲ぶ」には充分な旅ではないだろうか?

旅の目的は人それぞれ異なるが、私が旅で好んでいるうちのひとつに、その街や村に住む人や動物の雰囲気を自身で歩き、見て、聞いて、嗅いで感じ取ることに時間を掛ける。ベトナムのサパやバックハのように大勢の山岳民族がやって来る場所では、のんびりカフェから彼女たちを眺めていることが贅沢な時間の過ごし方であり、そして目と心の保養となっていく。ここで過ごした時間が次回の旅へとつながって行く。ベトナムでは買い物や名所観光も良いだろうけど、丸々一日山岳民族を眺めるという旅もおすすめしてみたい。

今回出会った「黒モン族」「赤ザオ族」「花モン族」は決して名前負けすることのない素晴らしい民族であった。そして本当の山岳民族に出会える身近な場所こそベトナム北部の魅力である。そんなベトナムの山岳民族たちに会いに行ってみよう!!

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