外岩ボルダリングには必携 <知られざるボルダリングマットの世界>

ナカガワ


ボルダリングマットの選び方

ボルダリングは非常に面白いスポーツである反面、怪我をしうる可能性がほかのスポーツよりも高い。さらに、自然の中でボルダリングを楽しむ「外岩ボルダリング」では、インドアよりもさらに怪我のリスクが高まる。そこで必要なのがボルダリングマットである。
 しかし、現在各メーカーから様々なボルダリングマットが販売されているが、何を基準に選べばいいのかがわかりずらい状況である。多くのボルダリングマットの特徴は、ボルダリングの専門用語ともいえる単語で表されているので初めて選ぶ方にとってはわかりにくいのではないだろうか。この記事ではそのような疑問に答えるとともに、何を基準に選べばいいのかということについてのヒントを提示できればと思う。

外岩への希求とボルダリングマットの重要性

最近、巷では2020年東京オリンピックの正式種目に採用されたこともあり、ボルダリングが注目を集めている。ボルダリングは自分の身体一つで楽しむことが可能であり、その手軽さとパズルのような楽しさ、体を効率よく鍛えたり、ダイエットにも最適という魅力が相まって流行してる。また、それに伴い、多くのクライミングジムが新たにオープンしたことによって誰でも気軽にボルダリングを楽しんでいる。
 一口に「クライミング」といっても、その種類は様々である。なぜならば、「クライミング」という単語の中に多くのクライミングの種類が存在しているからだ。近年流行しているボルダリングは「スポーツクライミング」と呼ばれるジャンルの中に属しており、多くの場合インドアで人口壁を登るものを指す。また、スポーツクライミングの中にはロープを使って高い壁を登る「リードクライミング」や人口壁をいかにして早く登るかという、いわゆるクライミングの短距離走のような競技、「スピードクライミング」がある。これらの総称である「スポーツクライミング」が2020年オリンピックの正式種目に決定したのである。
 しかし、そのようなクライミングスタイルが生まれたのは最近であり、もともと「クライミング」が意味していたものは、1940年代にアメリカのコロラドやヨセミテなどの山脈地帯で約1000メートルほどの崖を登っていたものであった。つまり、最近のようなインドアではなくアウトドアで行われているものであったのだ。それらは現在では「マルチピッチ」や「外リード」と呼ばれるようになり、インドアクライミングに対してのアウトドアクライミングというように峻別されつつある。
 そして、インドアから始めたクライマーは多くの場合、「外岩」に挑戦をしたいといういわば原点回帰の欲求が生じる。近年はボルダリングが盛んになったことによってそれらの外岩エリアも整備され、安全にアクセスでき、安全に登れるようになっている。しかし、安全に配慮されているインドアクライミングとは違い、外岩は何が起きても自己責任である。また、場所によっては「下地(足元の状態)」が悪いこともあり、一歩間違えれば大怪我を負ってしまうようなケースも発生している。したがって、外岩を登る際は下にボルダリングマットを敷き、失敗した時の着地の衝撃を和らげなくてはならない。
次からは、そのボルダリングマットの種類や選択のポイントを紹介していく。

ボルダリングマットの構造

ボルダリングマットの構造は内部にマットレスのような高反発フォームとウレタンフォームが二重になって入っている「二重構造」と低反発フォームを高反発フォームでサンドイッチした構造を持つ「三重構造」が主流である。それに加えて、メーカー独自の構造をもったボルダリングマットも登場している。
 それぞれの特徴は、二重構造は三重構造と比べてコストがかからないため、低価格である。しかし、衝撃吸収性のは言うまでもなく三重構造に軍配が上がるので、自分の予算と安全性とを天秤にかけ、相談しながら決めるべきである。
 また、少しマイナーなエリアに行くと下地が岩だらけでごつごつしている場所が多い。その場合、低反発クッションを想像したらわかりやすいが、その突起物に低反発マットが沈み込む。そのせいで、クッションの厚みが薄くなり、衝撃を吸収しづらくなってしまう。したがって、よく行くエリアの下地を行ったことのあるクライマーから聞き、しっかり把握しボルダリングマットを選んでほしい。

持ち運びを考える

ボルダリングマットには多くの場合、折り畳み、背負って岩場まで持ち運ぶ。そして、マットによってはウエストベルトが付いていたり、カラビナを用いてシューズを取り付けいっしょに運べるような機能が付いているものもある。
 重さも様々で4kg前半のものから6kgを超えるものまである。分厚ければ分厚いほど安全性は高くなるが、岩場に到着する前にマットの運搬で疲弊してしまっては元も子もない。
 また、折り畳み機構も様々で、二枚、または三枚のマットにつなぎ目が付いており、フラットに折りたたむことのできる「ヒンジタイプ」や一枚のマットをまげて折りたたむ「タコスタイプ」などがある。ヒンジタイプはタコスタイプに比べてコンパクトになるが、広げた際に繋ぎ目があるせいで二枚の場合中心部分が、三枚の場合それぞれのつなぎ目の部分のクッションが薄い。それに比べてタコスタイプは一枚のマットを曲げているため、中心部分に空洞ができる。そのため、広げた際にヒンジタイプと同じ大きさであっても、持ち運び時は厚みが増えてしまう。しかし、そのデメリットを逆手にとって、マットの下部をふさぎ、中心の空洞部分にシューズやチョーク、飲み物などのクライミングに必要なものを収納し、持ち運べるようになっているマットもある。
 また、岩場ではマットに座って休憩することも多い。したがって、マットがソファのようになるユニークな構造を採用しているものもある。
 これらの構造や折り畳み機構も安全のためには非常に重要なものであるので、その点にも注意しながら良いものを選択してほしい。

サブマットの存在

メインの分厚いマットのほかに、それを補助する役割を持つサブマットというものがある。それは、大抵メインのマットよりも薄く、面積が小さい一枚・一層構造なのでサブマットだけの上に着地するのはお勧めしない。しかし、ヒンジタイプの繋ぎ目部分に置いたり、ほかのクライマーのマットと一緒に置く場合のマットの境界線の上に置いたりして、より安全性を担保するという役割においては、絶大な効果を発揮する。したがって、二層構造でヒンジタイプの、すこし値段の安いものを買い、差額で汎用性の高いサブマットを購入するというのも一つの手だろう。

まとめ

これまでの点をまとめると、ボルダリングマットを選ぶ際は以下の点を考慮してほしいと思う。
・構造―二層や三層、またはメーカー独自の構造。衝撃吸収性能に関係する。
・折り畳み機構―「ヒンジタイプ」や「タコスタイプ」などがある。つなぎ目ができるかできないかの違いである。
・重さー持ち運びに直結する。
・値段
である。
自分の用途に合っていないマット、例えば一人や二人などの少人数で行くのに小さいマットを選んでしまうということや、岩場の地面がごつごつしているのに二層構造のマットを選んでしまうなどということは、事故や怪我に直結数る可能性が高まってしまう。しかし、大人数で行く場合、運搬の面で分厚いマットを車に積めないこともある。そうした事情も踏まえなければならない。
また、上級者になればなるほど、どこにどのように落ちるのかなどを判断し予想できるので、マットを適切な位置に置くことができるようになる。しかし、初心者の場合それが難しいので間違ったマット選びは避けるべきである。ぜひ、この記事を参考にして、より良いボルダリングマットを選択してほしいと思う。
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